はじめての薬膳・養生

秋の味覚で始める養生ごはん:身近な食材で簡単ケア

Tags: 薬膳, 養生食, 秋, 簡単レシピ, 身近な食材, 乾燥対策

秋の養生ごはんとは?季節の変わり目の体調ケア

季節は夏から秋へと移り変わります。朝晩の気温差が大きくなり、空気が乾燥し始めるこの時期、なんとなく体調が優れないと感じる方もいらっしゃるかもしれません。薬膳や養生の考え方では、このように季節の移り変わりに合わせて、食事や生活習慣を調整することが大切だとされています。

「秋の養生ごはん」と聞くと、特別な食材や難しい調理法が必要なのではないか、と思われるかもしれません。しかし、決してそうではありません。身近にある秋の味覚を上手に取り入れることで、私たちの体は季節の変化にスムーズに対応できるようになります。この記事では、秋におすすめの薬膳・養生の考え方と、毎日の食卓で簡単にできる体調ケアの方法をご紹介いたします。

薬膳・養生で考える「秋」の体と食事

薬膳の基本的な考え方の一つに「五行(ごぎょう)」というものがあります。これは、自然界の全てのものを「木・火・土・金・水」の5つの要素に分類し、それぞれが互いに関係し合いながらバランスをとっていると考えるものです。この五行は季節にも対応しており、秋は「金(ごん)」に属するとされています。

「金」は、臓器では「肺(はい)」と深い関係があります。ここでいう「肺」は、西洋医学的な肺機能だけでなく、呼吸器系全般(鼻、喉、気管支など)や皮膚、大腸など、外からの刺激を受けやすい部分や、体の内外を隔てる部分を広く含んだ概念です。

秋は空気が乾燥しやすい季節です。この「乾燥」は、薬膳では「燥邪(そうじゃ)」と呼ばれる体調を崩す一因と考えられています。乾燥した空気は呼吸器や皮膚から体に入り込み、体に潤いを奪い、空咳、鼻や喉の乾燥感、皮膚のカサつき、便秘などの不調を引き起こしやすくなります。

そのため、秋の養生では、「肺」の機能をサポートし、体の「潤い」を保つことが重要になります。食事でいえば、乾燥を防ぎ、体に潤いを与える性質を持つ食材を積極的に取り入れることが推奨されます。

秋の養生におすすめの身近な食材

秋に体に潤いを与え、「肺」をサポートする働きが期待できる身近な食材はたくさんあります。特別なものを用意する必要はありません。いつものスーパーで手に入る食材で十分に養生できます。

これらの食材は、どれも秋に旬を迎え、美味しく、比較的手頃な価格で手に入ります。旬の食材は栄養価も高く、その季節の体の状態に合った働きを持つと言われています。

毎日の食卓で簡単!秋の養生ごはんの取り入れ方

「養生ごはん」を毎日の食事に取り入れるのは、決して難しく考える必要はありません。いつもの食事に、秋におすすめの食材を「ちょい足し」したり、調理法を少し工夫したりするだけでも十分な養生になります。

  1. 汁物にきのこや根菜を加える: いつもの味噌汁やスープに、しめじ、えのき、だいこん、れんこんなどを加えてみましょう。簡単に食物繊維や体の潤いを補うことができます。
  2. ごはんものに秋の味覚をプラス: 炊き込みご飯にきのこやさつまいもを入れるのは定番ですね。炒めご飯の具材に加えるのも良いでしょう。お米と一緒に炊くことで、食材の持つ力が体に取り込まれやすくなります。
  3. 秋の果物をおやつに、デザートに: 梨や柿をそのまま食べるのが一番手軽です。乾燥が気になる時には、梨をすりおろして飲むのも良いでしょう。また、梨を蒸したり煮たりして温かいデザートとしていただくのも、体を冷やしすぎずに潤いを補う良い方法です。さつまいもをふかしたり、甘煮にしたりするのも、手軽で満足感のある養生おやつになります。
  4. 飲み物で潤いをチャージ: 水分補給はもちろんですが、乾燥対策には温かい飲み物がおすすめです。簡単なのは、生姜湯や、はちみつとレモンを入れた白湯などです。

これらの方法は、特別なレシピや調理技術がなくても、すぐに試せるものばかりです。高価な食材を揃える必要もありません。まずは一つか二つ、気になる方法から試してみてはいかがでしょうか。続けることで、体は少しずつ季節の変化に適応し、快適に過ごせるようになることを実感できるかもしれません。

まとめ:無理なく楽しく、秋の養生を始めましょう

秋の薬膳・養生のポイントは、「肺」を労り、体の「潤い」を保つことです。特別なことは何もありません。旬の秋の味覚を意識して食事に取り入れるだけで、十分に体のケアができます。

「難しそう」「お金がかかりそう」といったイメージを持っていた方も、身近な食材をいつもの料理にプラスするだけでできるなら、自分にもできそう、と感じていただけたのではないでしょうか。

完璧を目指す必要はありません。今日から、いつもの食事にきのこを加えてみたり、おやつを旬の果物に替えてみたり、小さなことから始めてみましょう。美味しく、楽しく、秋の養生ごはんを生活に取り入れて、実りの秋を健やかに過ごしてください。