「冷蔵庫にあるもの」でできる!はじめての薬膳・養生食
はじめに:冷蔵庫にあるもので体調を整えたいあなたへ
「薬膳や養生食に興味はあるけれど、特別な食材を揃えるのが大変そう」「わざわざ買い出しに行くのは面倒だな」と感じていませんか?
体調を整えるために食生活を見直したいと思っても、毎日忙しい中で新しい習慣を取り入れるのは少しハードルが高く感じられるかもしれません。
でも、ご安心ください。薬膳や養生食は、決して特別なものではありません。実は、普段皆さんの冷蔵庫にある身近な食材でも、十分に体調を整えるヒントがたくさん隠されています。
このコラムでは、「冷蔵庫にあるもの」を活用して、無理なく、手軽に薬膳・養生食を始める方法をご紹介します。特別な準備は必要ありません。今日からすぐに試せるアイデアを一緒に見ていきましょう。
薬膳・養生食の考え方と「冷蔵庫にあるもの」の可能性
薬膳や養生食の基本的な考え方は、「食材が持つ性質を理解し、自分の体の状態や季節に合わせてバランス良く取り入れることで、健康を維持する」というものです。
例えば、体を温める性質の食材、冷やす性質の食材、胃腸の働きを助ける食材などがあります。大切なのは、高価な漢方薬や珍しい食材だけが薬膳なのではなく、普段私たちが食べている野菜や肉、魚、穀物など、全ての食材にそれぞれの性質があるという視点です。
そして、この視点から見ると、皆さんの冷蔵庫にある一般的な食材にも、薬膳・養生の考え方に基づいた働きがたくさんあることに気づきます。
冷蔵庫の定番食材が持つ薬膳的な性質(例)
いくつか例を挙げてみましょう。
- 大根: 消化を助け、気の巡りを良くすると考えられています。体にこもった余分な熱を冷ます働きもあります。
- ねぎ・生姜: 体を温める代表的な食材です。気の巡りや血行を良くし、発汗を促すため、風邪のひきはじめにもよく用いられます。
- 卵: 体に必要な「気」と「血」を補い、体を潤すと考えられています。疲労回復や体力不足の時におすすめです。
- 豆腐: 体にこもった熱を冷まし、体を潤す性質があります。余分な水分を排出するのを助けるとも言われます。
これらはほんの一例ですが、このように身近な食材一つ一つに、体への働きかけがあるのです。
「冷蔵庫にあるもの」でできる簡単薬膳・養生レシピ/ヒント
それでは、実際に冷蔵庫にあるものでできる簡単な薬膳・養生食のアイデアをご紹介します。特別な調味料や調理器具は不要です。
1. 体を温めたい時に:ねぎたっぷり味噌汁
- 材料: 冷蔵庫にある野菜(大根、人参、きのこ類など)、豆腐、ねぎ、味噌、だし汁
- 作り方: 鍋にだし汁と切った野菜を入れて煮込みます。火が通ったら豆腐を加え、味噌を溶き入れます。お椀によそい、刻んだねぎをたっぷり乗せれば完成です。
- ポイント: ねぎと味噌はどちらも体を温める性質があり、冷えを感じやすい時におすすめです。お好みで生姜のすりおろしを加えても良いでしょう。
2. 胃腸の調子が気なる時に:大根おろしと鶏肉のさっぱり煮
- 材料: 鶏もも肉やむね肉(少量でもOK)、大根、醤油、みりん、酒、だし汁
- 作り方: 鶏肉を食べやすい大きさに切ります。大根はすりおろします。鍋にだし汁、醤油、みりん、酒を合わせて鶏肉を入れ、火が通ったら大根おろしを加えてさっと煮ます。
- ポイント: 大根には消化を助ける酵素が含まれており、胃腸への負担を減らしてくれます。鶏肉は気を補うとされ、消化の良い組み合わせです。
3. ちょっと疲れたな、という時に:ふわふわ卵豆腐あんかけ
- 材料: 卵、豆腐、冷蔵庫にある野菜(ほうれん草、きのこ、ねぎなど)、醤油、みりん、だし汁、片栗粉
- 作り方: 豆腐を食べやすい大きさに切ります。野菜も切っておきます。鍋にだし汁と醤油、みりんを入れて温め、野菜を加えて煮ます。野菜が柔らかくなったら水溶き片栗粉でとろみをつけます。溶き卵を回し入れ、ふわっとしたら火を止め、豆腐の上にかけて完成です。
- ポイント: 卵は気を補い、体を滋養します。豆腐は消化が良く、あんかけにすることで体を冷やしすぎず、優しい口当たりになります。
これらのレシピはあくまで一例です。冷蔵庫にある「いつもの食材」を、薬膳的な性質を少し意識して調理したり組み合わせたりするだけで、立派な養生食になります。
無理なく続けるためのヒント
「冷蔵庫にあるもの」で薬膳・養生食を続けるためのヒントをいくつかご紹介します。
- 完璧を目指さない: 毎日全てを薬膳にする必要はありません。週に数回、一品だけ意識してみることから始めましょう。
- 「いつもの料理」にちょい足し: いつも作る味噌汁に生姜やねぎを多めに入れる、煮物に大根をたっぷり使う、といった簡単な工夫でも十分です。
- 食材の性質を意識する習慣をつける: 「この野菜は体を冷やすかな、温めるかな?」と少し立ち止まって考えてみるだけでも、食への意識が変わります。スーパーで買い物の際にも役立ちます。
- 冷蔵庫の中身を把握する: 定期的に冷蔵庫をチェックし、何があるか、何から使うべきかを知っておくことで、食材を無駄なく使い切るヒントにもなります。
まとめ:「あるもの」で始める、あなたのための養生食
薬膳や養生食は、特別な食材や高度な知識がなくても、身近な「冷蔵庫にあるもの」から気軽に始めることができます。大切なのは、食材が持つ力に目を向け、自分の体の声を聞きながら、バランス良く取り入れていくことです。
今日ご紹介したアイデアが、皆さんの日々の食生活に役立ち、体調を整えるための一歩となれば幸いです。難しく考えず、まずは冷蔵庫の中身をチェックするところから、楽しみながら始めてみませんか。