気になる目の疲れをケアする薬膳・養生食:身近な食材と簡単レシピ
目の疲れ、薬膳・養生食でできること
デジタルデバイスの使用やデスクワークなどで、多くの方が目の疲れを感じているのではないでしょうか。目が疲れると、視界がかすんだり、肩や首がこったりと、全身の不調にもつながりかねません。
「薬膳や養生食で目の疲れをケアできるの?」と疑問に思われるかもしれません。実は、私たちの体の状態は日々の食事と深く関わっており、薬膳・養生食の考え方を取り入れることで、目の健康をサポートすることが期待できます。
「薬膳は難しそう」「特別な食材が必要なのでは?」と思われるかもしれませんが、ご安心ください。普段キッチンにある身近な食材でも、目の疲れにアプローチする方法はたくさんあります。この記事では、薬膳・養生食の視点から、目の疲れの原因と、簡単かつ無理なくできるケア方法をご紹介します。
薬膳で考える「目の疲れ」の原因
薬膳では、体全体を一つのつながりとして捉え、体の不調はそのバランスが崩れた状態と考えます。目の働きは、特に「肝(かん)」という臓器と深く関連していると考えられています。
- 「肝」と「血(けつ)」の関係: 薬膳では、「肝は血を蔵す(たくわえる)」と考えられています。血は全身に栄養を運び、目を養う働きも担います。目の疲れは、この肝に蓄えられている「血」が不足したり、全身の「血」の巡りが滞ったりすることで起こりやすくなると考えられます。
- 「気(き)」と「血」の関係: また、「気」は体を動かすエネルギーのようなものであり、「血」を全身に巡らせるポンプのような役割も担います。「気」が不足したり滞ったりすることも、「血」の不足や滞りにつながり、結果として目の疲れを引き起こす要因となり得ます。
つまり、目の疲れは、単に目を使いすぎただけでなく、「肝」の機能が低下していたり、「気」や「血」が不足・滞っていたりする体のサインとして捉えることができるのです。
目の疲れをケアする身近な食材
では、肝血を補ったり、気血の巡りを良くしたりする食材にはどのようなものがあるのでしょうか。身近な食材の中から、目の疲れケアにおすすめのものをいくつかご紹介します。
- 血を補う・養う食材:
- ほうれん草、小松菜などの葉物野菜: 造血作用を助ける鉄分を含みます。
- 人参: ビタミンA(β-カロテン)が豊富で、目の健康に良いとされます。薬膳では血を補う働きもあると考えられています。
- プルーン、レーズン: ドライフルーツは手軽に鉄分やミネラルを補給できます。
- レバー: 動物性ですが、少量であれば血を補う効果が期待できます。苦手な場合は他の食材で補いましょう。
- 肝を養う・目に良いとされる食材:
- クコの実: 「食べる目薬」とも言われ、肝を養い目に良いと薬膳で古くから用いられています。スーパーでも手に入りやすくなりました。
- ブルーベリー: アントシアニンが豊富で、目の機能の維持を助けるとして有名です。
- 気血の巡りを良くする食材:
- 黒きくらげ: 血を補い、巡りを良くする働きがあるとされます。
- 玉ねぎ、ネギ: 気の巡りを良くする助けとなります。
- 青魚(サバ、イワシなど): DHAやEPAが豊富で、血の巡りをスムーズにする助けとなります。
これらの食材は、特別なものではなく、普段の買い物で手に入るものばかりです。
日常でできる!簡単薬膳・養生レシピと取り入れ方
身近な食材を使って、目の疲れケアを意識した薬膳・養生食を日常に取り入れてみましょう。難しい調理は必要ありません。
レシピ例1:クコの実と人参の簡単スープ
材料(1人分): * 鶏ガラスープの素(顆粒): 小さじ1/2 * お湯: 200ml * 人参: 1/4本(薄切りまたは千切り) * クコの実: 小さじ1程度 * 塩、こしょう: 少々 * お好みでねぎなど
作り方: 1. 鍋にお湯を沸かし、鶏ガラスープの素、人参を加える。 2. 人参が柔らかくなるまで煮る。 3. クコの実を加え、一煮立ちさせる。 4. 塩、こしょうで味を調える。お好みで刻みねぎを散らす。
ポイント: 朝食や軽食に手軽に取り入れられます。クコの実は戻さずにそのまま使ってOKです。
レシピ例2:ほうれん草と黒ごまのおひたし
材料(2人分): * ほうれん草: 1束 * 醤油: 大さじ1 * みりん: 大さじ1 * すりごま(黒): 大さじ2
作り方: 1. ほうれん草はよく洗い、塩少々(分量外)を加えた熱湯でさっと茹でる。 2. 冷水にとって冷まし、水気をしっかり絞って3〜4cm長さに切る。 3. ボウルに醤油とみりんを合わせ、ほうれん草とすりごま(黒)を加えて和える。
ポイント: 黒ごまは血を養う薬膳食材としても知られています。ほうれん草の鉄分吸収を助けるビタミンCも含まれています。
もっと手軽な取り入れ方
- いつもの味噌汁やスープに: クコの実や乾燥わかめ(血を補うとされる)、人参などを加えて具沢山にする。
- ご飯に混ぜる・ふりかける: 炊飯時に少量のもち米(血を補う)、クコの実などを加えて一緒に炊く。または、黒ごまふりかけを活用する。
- おやつとして: プルーンやレーズンを少量つまむ。クコの実をそのまま食べる(しっかり噛んでください)。
- 簡単な薬膳茶: マグカップにクコの実を数粒入れ、熱湯を注いで数分置くだけでもOK。お好みで菊花(これも目に良いとされるが、スーパーによっては無いかも)などを加えても良いですが、まずはクコの実だけでも試してみてください。
食事以外の養生法
目の疲れを和らげるためには、食事だけでなく、日常生活での養生も大切です。
- 目を休める時間を作る: 定期的に休憩を取り、遠くを見たり、目を閉じたりして休ませましょう。
- 目を温める: 温かいタオルや市販のホットアイマスクなどで目を温めると、血行が促進され、疲れが和らぎやすくなります。
- 十分な睡眠をとる: 睡眠中に体は修復されます。特に「肝」は夜間に血を蓄え、体の回復を促すと言われています。質の良い睡眠を心がけましょう。
まとめ
目の疲れは、単なる使いすぎだけでなく、体全体のバランスの乱れ、特に「肝」や「気血」の状態と関連が深いと薬膳では考えられています。
ご紹介したように、特別な食材や難しい調理法を使わなくても、ほうれん草や人参、クコの実といった身近な食材を活用し、普段の食事や飲み物に少し加えるだけで、目の疲れケアを意識した養生を取り入れることができます。
これらの方法を試していただくことで、「これなら自分にもできそう」と感じていただけたら幸いです。難しく考えず、まずはできることから、楽しみながら日々の食生活に薬膳・養生の知恵を取り入れてみてください。体の内側からのケアが、目の健康維持、ひいては全身の元気につながっていくことでしょう。