はじめての薬膳・養生

身近な食材で肩こりをケアする薬膳・養生食

Tags: 薬膳, 養生, 肩こり, 食材, レシピ

はじめに

デスクワークが続いたり、同じ姿勢を長時間続けたりすることで、多くの方が肩こりを感じていらっしゃるのではないでしょうか。つらい肩こりは、日常生活の質にも影響を及ぼすことがあります。

肩こりのケアというと、マッサージやストレッチを思い浮かべることが多いかもしれません。これらももちろん大切ですが、日々の食事からも体の中の状態を整えていくアプローチがあります。それが、薬膳・養生の考え方です。

薬膳や養生と聞くと、「特別な食材が必要なのでは?」「なんだか難しそう、お金がかかりそう」と感じる方もいらっしゃるかもしれません。しかし、決してそんなことはありません。私たちの身近にある食材を上手に活用するだけで、体の中から肩こりをケアしていくことが可能です。

このコラムでは、薬膳の視点から肩こりの原因を捉え、スーパーで手に入る身近な食材を使った簡単なケア方法をご紹介します。今日からすぐにでも試せるヒントを見つけていただければ幸いです。

薬膳の視点から見る肩こりの原因

薬膳では、肩こりを単に筋肉が硬くなった状態と捉えるだけでなく、体全体のバランスの乱れが引き起こすサインの一つと考えます。肩こりの背景にある主な原因として、以下のようなものが考えられます。

これらの原因が単独で、あるいは複数組み合わさることで、つらい肩こりとして現れると考えられています。

肩こりケアにおすすめの身近な食材

体の中から肩こりをケアするためには、主に「体を温める」「気血の巡りを良くする」「余分な湿を取り除く」といった働きを持つ食材を取り入れることがおすすめです。ここでは、スーパーで手軽に手に入る身近な食材をご紹介します。

これらの食材を意識して日々の食事に取り入れてみましょう。

身近な食材を使った簡単レシピ・食べ方

特別な調理器具や難しい手順は一切不要です。ご紹介した食材を使った、普段の食事に簡単にプラスできるレシピや食べ方のヒントです。

1. 生姜たっぷり!体を温めるスープ

材料:鶏がらスープの素(顆粒)、生姜ひとかけ、ネギ1/2本、お好みで鶏肉、きのこ類、葉物野菜(ほうれん草など)

作り方: 1. 生姜は薄切りか千切りにします。ネギは小口切りにします。お好みで鶏肉や野菜を食べやすい大きさに切ります。 2. 鍋に水と鶏がらスープの素を入れて火にかけます。 3. 沸騰したら鶏肉、きのこ類、生姜を加えて煮ます。 4. 火が通ったら葉物野菜とネギを加え、さっと火を通して完成です。

体がじんわり温まり、気の巡りを助けてくれるスープです。朝食や、体の冷えを感じる時に特におすすめです。

2. 黒きくらげと野菜の炒め物

材料:乾燥黒きくらげ5g程度、お好みの野菜(ピーマン、にんじん、玉ねぎなど)、豚肉や鶏肉、醤油、酒、ごま油

作り方: 1. 乾燥黒きくらげはたっぷりの水で戻し、石づきを取って食べやすい大きさに切ります。 2. 野菜、肉も食べやすい大きさに切ります。 3. フライパンにごま油を熱し、肉を炒めます。 4. 肉の色が変わったら野菜を加えて炒め合わせます。 5. 黒きくらげを加え、醤油と酒で味付けして完成です。

血を補い、巡りを助ける黒きくらげを手軽に取り入れられます。冷蔵庫にある野菜でアレンジ可能です。

3. サバ缶となつめの炊き込みご飯

材料:米2合、サバ缶(味噌煮または醤油煮)1缶、乾燥なつめ(種なし)5~8個、きのこ類(しめじなど)、醤油、みりん(お好みで)

作り方: 1. 米は洗って炊飯器の釜に入れます。通常の水加減より少し水を減らします。 2. サバ缶を汁ごと加えます。 3. なつめは刻んでもそのままでも良いでしょう。きのこ類は石づきを取りほぐします。これらを釜に加えます。 4. 醤油を加えて(サバ缶の味によって調整)、全体を軽く混ぜ合わせます。お好みでみりんを少量加えても良いでしょう。 5. 炊飯器のスイッチを入れて炊飯します。 6. 炊きあがったら全体を混ぜて完成です。

サバ缶となつめを使うことで、手軽に血を補い、巡りをサポートする炊き込みご飯が作れます。なつめの優しい甘みがアクセントになります。

これらのレシピはあくまで一例です。いつもの炒め物に生姜やニラを加えたり、スープにネギをたっぷり入れたり、サラダにお酢を使ったドレッシングをかけたり、炊飯時になつめを数個入れたりするだけでも、十分に薬膳・養生の考え方を取り入れることになります。

食材以外でできる肩こり養生

食事と合わせて、日常生活で少し意識するだけでも肩こりケアにつながる養生法があります。

無理なく続けるためのヒント

薬膳・養生食は、難しく考えすぎる必要はありません。毎日完璧に実践しようと気負うと、かえって負担になってしまいます。

日々の食事は、体の基本を作る大切な要素です。少しずつ薬膳・養生の考え方を取り入れることで、体の変化を感じられるかもしれません。

おわりに

つらい肩こりは、体からの「もう少しケアしてほしい」というサインかもしれません。薬膳・養生食の考え方を取り入れることは、肩こりという一つの不調にアプローチするだけでなく、体全体の状態をより良い方向へ導くことにもつながります。

特別なことではなく、身近な食材を使い、いつもの食事に少し工夫を加えることから始めてみませんか。今日ご紹介したヒントが、あなたの健やかな体づくりのお役に立てれば幸いです。