キッチンにあるもので始める薬膳茶:心と体を整える簡単レシピ
薬膳や養生という言葉を聞くと、特別な食材が必要で難しそう、と思われるかもしれません。でも、実は私たちのキッチンにある身近な食材でも、体に嬉しい変化をもたらすことができるのです。
今回は、そんな身近な食材を使って手軽に始められる「薬膳茶」に焦点を当ててご紹介します。お茶を飲むという日常的な習慣に、薬膳の考え方を少しプラスするだけで、心と体のバランスを整えるサポートになります。
薬膳茶とは?薬膳の考え方を「お茶」に活かす
薬膳とは、食材が持つ力に着目し、体質や体調、季節に合わせて食材を選び、バランスを整えることで健康を維持する考え方です。特別な漢方薬を使うことだけが薬膳ではありません。普段の食事に取り入れることこそが、薬膳の基本です。
薬膳茶は、この薬膳の考え方をお茶という形にしたものです。特定の食材(植物の葉、根、実、種子など)を組み合わせてお茶として飲むことで、その食材が持つ効能を体に取り入れようというものです。
なぜ薬膳茶がおすすめなのでしょうか。それは、何よりも手軽で簡単に始められるからです。普段お茶を飲む習慣がある方なら、いつもの一杯を薬膳茶に置き換えるだけで、体のケアを始めることができます。また、キッチンにある身近な食材を使うことで、「薬膳は難しそう」「お金がかかる」というイメージを払拭し、無理なく続けやすい点も大きな魅力です。
キッチンにある身近な材料の薬膳的働き
私たちのキッチンや、近所のスーパー、ドラッグストアなどで手に入る身近な食材にも、それぞれ薬膳的な働きがあります。いくつか例をご紹介しましょう。
- 生姜(ショウガ): 体を温める代表的な食材です。特に乾燥生姜は体を温める力が強いとされます。冷え性や風邪のひき始めにおすすめです。
- ネギ(ネギ): ネギの白い部分は体を温め、発汗を促す働きがあると言われます。これも風邪の初期症状に良いとされます。
- 大根(ダイコン): 特に大根おろしや煮汁は、消化を助け、痰を切るのを助けると言われます。のどの不調にも良いとされます。
- みかんの皮(陳皮:チンピ): みかんの皮を乾燥させたものです。気の巡りを良くし、消化器の働きを助けると言われます。食後の消化不良や胃もたれにおすすめです。(無農薬のみかんの皮を使うのが望ましいです。)
- なつめ(ナツメ): 気を補い、胃腸の働きを助け、精神を安定させる働きがあると言われます。疲労回復やリラックスしたい時におすすめです。ドライフルーツコーナーなどで手に入ります。
- クコの実(クコノミ): 潤いを与え、目の疲れや体の乾燥におすすめです。また、気を補う働きもあると言われます。スーパーなどで手に入ります。
- 黒豆(クロマメ): 体の潤いを補い、巡りを良くする働きがあると言われます。乾燥やむくみが気になる時におすすめです。
- ハトムギ(ハトムギ): 体の余分な水分を排出し、肌荒れにも良いとされます。むくみや肌の不調が気になる時におすすめです。スーパーなどで手に入ります。
これらの食材は、それぞれ単独でも、いくつかの組み合わせでも薬膳茶として利用できます。
体調別:キッチンにあるもので作る簡単薬膳茶レシピ
ここでは、よくある体調の不調に合わせた、身近な材料で作れる簡単な薬膳茶のレシピをご紹介します。
レシピ1:体が冷える時におすすめ「生姜と黒糖のぽかぽか茶」
- 材料:
- 生姜:薄切り2〜3枚(またはすりおろし小さじ1/2)
- 黒糖:お好みの量
- お湯:カップ1杯分
- 作り方: カップに生姜と黒糖を入れ、熱いお湯を注ぎます。蓋をして数分蒸らすと、より生姜の成分が出やすくなります。
- ポイント: 生姜は皮ごと使うと体を温める力が強いと言われます。(よく洗ってから使いましょう。)黒糖も体を温める働きがあります。
レシピ2:疲れて元気が出ない時におすすめ「なつめとクコの実の元気茶」
- 材料:
- なつめ:2〜3個
- クコの実:小さじ1
- お湯:カップ1杯分
- 作り方: なつめは半分に割るか、数カ所切り込みを入れてからカップに入れます。クコの実もカップに入れます。熱いお湯を注ぎ、蓋をして5〜10分蒸らします。なつめとクコの実もそのまま食べられます。
- ポイント: なつめとクコの実が持つ「気」を補う力で、体の内側から元気をサポートします。やさしい甘さで心も和らぎます。
レシピ3:食後の胃もたれにおすすめ「みかんの皮と生姜のすっきり茶」
- 材料:
- 乾燥させたみかんの皮(陳皮):少量(指先一つまみ程度)
- 生姜:薄切り1枚
- お湯:カップ1杯分
- 作り方: カップに乾燥みかんの皮と生姜を入れ、熱いお湯を注ぎ、蓋をして数分蒸らします。
- ポイント: みかんの皮と生姜の組み合わせが、胃腸の働きを助け、気の巡りを良くすることで、食後の不快感を和らげるサポートをします。(使うみかんは無農薬のものを選び、皮をよく洗い、天日干しなどで乾燥させてから使用してください。)
レシピ4:むくみが気になる時におすすめ「ハトムギと黒豆の巡り茶」
- 材料:
- ハトムギ(殻付きでないもの):大さじ1
- 黒豆:大さじ1
- 水:500ml程度
- 作り方: ハトムギと黒豆は軽く洗います。鍋に水とハトムギ、黒豆を入れて火にかけ、沸騰したら弱火にして10〜15分ほど煮出します。茶こしでこしていただきます。
- ポイント: ハトムギと黒豆は、体の余分な水分を排出するサポートをします。煮出すことで成分がしっかり抽出されます。
これらのレシピはあくまで一例です。お好みの材料を組み合わせて、自分だけの薬膳茶を見つけるのも楽しいでしょう。
薬膳茶を日常に取り入れるヒント
薬膳茶は、特別な時間でなくても、日常のさまざまなシーンに取り入れることができます。
- 朝の一杯に: 体を温める生姜茶などで、一日を気持ちよくスタート。
- 休憩時間に: なつめとクコの実のお茶で、心身のリラックスタイム。
- 食後に: みかんの皮のお茶で、消化をサポート。
- 寝る前に: リラックス効果のあるお茶で、穏やかな眠りをサポート。
無理なく続けるためには、まずは週に数回から試してみるのがおすすめです。マイボトルに入れて持ち歩いたり、職場で手軽に作れるように材料を準備しておいたりするのも良い方法です。
まとめ
薬膳茶は、キッチンにある身近な材料で簡単に始められる、心と体のケア方法です。一杯のお茶を通じて、ご自身の体調に意識を向け、食材の力を借りてバランスを整える。そんな習慣は、忙しい毎日の中でも、心と体にゆとりをもたらしてくれるでしょう。
今回ご紹介した材料以外にも、薬膳茶に使える身近な食材はたくさんあります。ぜひ、気になる食材から試してみて、ご自身に合った薬膳茶を見つけてみてください。無理なく、楽しく、日々の健康づくりに役立てていただけたら幸いです。