「巡り」を整えて体スッキリ!身近な食材で始める薬膳・養生食
「巡り」を整えて体スッキリ!身近な食材で始める薬膳・養生食
なんとなく体が重い、だるい、手足が冷える、顔や足がむくみやすい。そんな日々の小さな不調を感じていませんか?もしかしたら、それは体の「巡り」が滞っているサインかもしれません。
薬膳や養生の考え方では、私たちの体の中で「気(き)」「血(けつ)」「水(すい)」という3つの要素がスムーズに巡っていることが健康の基本と考えられています。この巡りが滞ると、体にさまざまな不調が現れると考えられています。
難しそうに聞こえるかもしれませんが、大丈夫です。薬膳・養生食の知恵を使えば、いつもの食事に少し工夫を凝らすだけで、体の巡りをやさしくサポートすることができます。特別な食材や高度なテクニックは必要ありません。キッチンにある身近な食材で、今日からできる「巡りケア」を始めてみましょう。
薬膳で考える「巡り」の重要性
薬膳の考え方では、体の中を流れる「気・血・水」は、私たちの生命活動を支える大切な要素です。
- 気(き): 体を動かすエネルギー、生命力のようなもの。気が不足すると疲れやすく、滞るとイライラしたり、お腹が張ったりすることがあります。
- 血(けつ): 体全体に栄養や酸素を運ぶ赤い液体。血が不足すると顔色が悪くなったり、めまいがしたり、滞ると肩こりや痛みの原因になったりします。
- 水(すい): 体液全般(血液以外の水分、リンパ液など)。体を潤し、老廃物を排出する役割があります。水が不足すると肌や喉が乾燥し、滞るとむくみやだるさを引き起こすことがあります。
これら「気・血・水」のいずれかの巡りが滞ると、前述のようなだるさ、冷え、むくみ、肩こり、消化不良など、さまざまな不調につながると考えられています。現代の私たちは、ストレス、不規則な生活、運動不足、冷たいものの摂りすぎなど、巡りを滞らせやすい生活を送りがちです。
薬膳・養生食では、体の内側からこれらの巡りをスムーズにすることを助けると考えます。
身近な食材で「巡り」を整えるヒント
体の巡りをサポートするために、日々の食事に少し意識して取り入れたい食材があります。特定の要素の巡りを良くするとされる食材は様々ですが、ここでは特に「巡りを促す」働きがある身近な食材の選び方と、具体的な食材例をご紹介します。
巡りを助ける食材の特徴:
- 香りの良いもの: 気の巡りを助けると考えられています。(例:みかんの皮(陳皮)、春菊、三つ葉、パクチー、ミントなど)
- 辛味のあるもの: 気や血の巡りを温めながら促すと考えられています。(例:生姜、ネギ、玉ねぎ、大根、唐辛子など)
- 色の濃いもの: 血の巡りを助けると考えられています。(例:ほうれん草、にんじん、黒きくらげ、ナス、黒豆など)
- 体を温めるもの: 冷えによる巡りの滞りを改善するのに役立ちます。(例:生姜、ネギ、シナモン、にんにく、ラム肉など)
具体的な巡りケアにおすすめの身近な食材例:
- ネギ、玉ねぎ、生姜、にんにく: これらは体を温め、気と血の巡りを促す代表的な食材です。料理の香味野菜として幅広く使えます。
- みかんの皮(陳皮): 乾かしたみかんの皮は、気の巡りを良くし、消化を助けると言われています。お茶に入れたり、料理の香り付けに使ったりできます。
- 大根、カブ: 特に大根は気の巡りを助け、消化を促す働きがあると言われます。煮物、お味噌汁、おろしなど、様々な形で取り入れやすい食材です。
- 青菜(ほうれん草、小松菜など): 血の巡りを助け、体を潤す働きがあると言われます。鉄分も豊富です。
- きのこ類、海藻類: 水の巡りをサポートし、余分な水分を排出する働きがあると言われます。食物繊維も豊富です。
- イワシ、サバなどの青魚: 血の巡りを良くするとされるDHA・EPAが含まれます。
簡単!巡りを整える実践アイデアとレシピ例
これらの食材を特別な方法で調理する必要はありません。いつもの食事に少し加えるだけで、簡単に巡りケアができます。
アイデア1:香味野菜をたっぷり使う
炒め物やスープ、お味噌汁を作る際に、ネギや玉ねぎ、生姜、にんにく、ニラ、三つ葉などを普段より多めに加えてみましょう。香りが食欲をそそるだけでなく、巡りをサポートしてくれます。
簡単レシピ例:香味野菜たっぷり味噌汁
材料: * お好みの野菜(大根、人参、きのこ類など) * ネギ(たっぷり) * 生姜(薄切り数枚、またはすりおろし少々) * 豆腐や油揚げなど(お好みで) * 味噌 * だし汁 または 水
作り方: 1. 鍋にだし汁または水を沸かし、食べやすく切った野菜ときのこ類、生姜を加えます。 2. 野菜が柔らかくなったら、豆腐や油揚げなどを加えます。 3. 味噌を溶き入れ、刻んだネギをたっぷり散らしたら完成です。
生姜は体を温め、ネギは気の巡りを助けます。きのこ類は水の巡りをサポートし、大根も気の巡りを助けます。いつものお味噌汁にこれらの食材をプラスするだけで、手軽な巡りケアになります。
アイデア2:温かい飲み物を取り入れる
特に朝や体が冷えている時、食事の際に温かい飲み物を飲むことは、体の内側から巡りを助けるシンプルな方法です。
簡単レシピ例:陳皮入り生姜湯
材料: * 生姜(薄切り1〜2枚) * 乾燥みかんの皮(陳皮)少量(刻むか手で砕く) * お湯 150〜200ml * はちみつ(お好みで)
作り方: 1. マグカップに生姜と陳皮を入れます。 2. 熱いお湯を注ぎ、蓋をするかラップをして3〜5分蒸らします。 3. お好みではちみつを加えて混ぜたら完成です。
生姜と陳皮の香りが心地よく、体の中からじんわりと温まります。乾燥みかんの皮は、市販のものもありますが、ご家庭で無農薬・減農薬のみかんの皮をよく洗い、天日干しして作ることもできます。
アイデア3:巡りを助ける副菜をプラスする
食卓にもう一品、巡りを意識した副菜を加えてみましょう。
簡単レシピ例:ほうれん草ときのこのごま和え
材料: * ほうれん草 1/2束 * お好みのきのこ(しめじ、えのきなど)少量 * 醤油 少々 * 砂糖 少々 * すりごま 大さじ1〜2
作り方: 1. ほうれん草はよく洗い、根元を落としてざく切りにします。きのこは石づきを取り、ほぐすか切ります。 2. 鍋に湯を沸かし、きのこ、ほうれん草の順に入れてさっと茹で、冷水にとってしっかり水気を絞ります。 3. ボウルに醤油、砂糖、すりごまを入れて混ぜ合わせ、ほうれん草ときのこを加えて和えたら完成です。
ほうれん草は血を補い、きのこは水の巡りを助けます。ごまも巡りを助けると言われています。手軽に作れて、いつもの献立にもう一品加えやすい副菜です。
薬膳・養生を無理なく続けるヒント
「巡りケア」は、特別なことではなく、日々の食事の延長でできることです。
- 完璧を目指さない: まずは、いつもの食事に巡りを助ける食材を一つ加えてみることから始めましょう。例えば、お味噌汁に生姜の薄切りを入れる、サラダに香味野菜を多めに使うなど、簡単なことから。
- 旬の食材を活用する: 旬の食材はその時期の体の状態に合った栄養やエネルギーを持っていると考えられています。また、旬の食材は手に入りやすく、経済的であることが多いです。積極的に活用しましょう。
- 自分の体と向き合う: 食材やレシピの効果は、その時の体の状態や体質によって異なります。レシピ通りでなくても、自分の体が必要としていると感じるものを意識して取り入れてみましょう。
まとめ
体の「巡り」を整えることは、冷えやだるさ、むくみといった日々の小さな不調の改善につながることが期待できます。薬膳・養生食の知恵は、決して難しいものではありません。身近な食材を選び、いつもの調理法で、まずは一つから試してみてください。
温かいものを摂る、香味野菜を上手に使う、旬の食材を取り入れる。これらのちょっとした意識が、体の巡りをスムーズにし、体全体をスッキリと心地よい状態へ導くための一歩となるでしょう。あなたの健やかな毎日のために、ぜひ今日から薬膳・養生の知恵を取り入れてみてください。