はじめての薬膳・養生

年齢とともに感じる不調を薬膳でケア:身近な食材と簡単レシピ

Tags: 薬膳, 養生, 体調ケア, 簡単レシピ, 身近な食材, 年齢変化

年齢とともに感じる不調、薬膳・養生でやさしくケア

年齢を重ねるにつれて、「以前より疲れやすくなった」「肌や体が乾燥しやすくなった」「なんとなく体が重い、だるい」など、さまざまな体の変化を感じ始めることがあります。これらは誰にでも起こりうる自然な変化ですが、上手に付き合っていくことで、毎日をより快適に過ごすことにつながります。

薬膳や養生の考え方は、このような年齢とともに感じる変化に寄り添い、体の内側からバランスを整えるヒントを与えてくれます。難しいイメージがあるかもしれませんが、実は特別な食材や手間のかかる調理は必要ありません。いつもの食事に少し工夫を加えるだけで、体はやさしく応えてくれます。

この記事では、年齢とともに感じやすい不調に対して、薬膳・養生の視点からどのように考え、身近な食材を使って簡単にケアできる方法をご紹介します。

薬膳・養生で考える「年齢とともに変化しやすい体」

薬膳の基本的な考え方では、体は「気(エネルギー)」「血(栄養)」「津液(潤い)」という要素がバランス良く巡ることで健康を保っていると考えます。年齢とともに、これらの要素が不足したり、流れが滞りやすくなったりすることがあります。

これらの状態が組み合わさることも多く、年齢とともに感じやすい不調の原因になっていることがあります。薬膳・養生では、これらの不足や滞りを、食の力で補ったり巡らせたりすることで、体全体のバランスを整えることを目指します。

年齢とともに感じる不調への薬膳的アプローチ

具体的な不調を例に、薬膳・養生でどのように考え、食でケアしていくかを見ていきましょう。

疲れやすさ、だるさ

これは主に「気」の不足と考えられます。気を補う食材を取り入れることがおすすめです。 * おすすめ食材: 鶏肉、牛肉、じゃがいも、山芋、きのこ類、お米、豆類など。

体や肌の乾燥

これは主に「津液(潤い)」や「血」の不足と考えられます。潤いを補い、巡りを良くする食材が役立ちます。 * おすすめ食材: 白きくらげ、黒きくらげ、百合根、豆腐、ごま、蜂蜜、梨、ぶどう、豚肉、鴨肉など。

冷え

「気」や「血」の不足、または流れの滞りが原因と考えられます。体を温め、巡りを良くする食材がおすすめです。 * おすすめ食材: 生姜、ネギ、ニラ、かぼちゃ、もち米、羊肉、鶏肉、シナモンなど。(ただし、体のほてりを伴う乾燥には温めすぎない配慮も必要です。)

眠りの質の低下

これは「血」や「津液」の不足、または「気」の滞りなど、様々な要因が考えられます。心身を落ち着かせ、滋養を補う食材が役立ちます。 * おすすめ食材: なつめ、百合根、蓮の実、牛乳、卵黄、豆腐、セロリなど。

身近な食材でできる簡単ケアレシピ

ここでは、スーパーで手に入る身近な食材を使った、年齢とともに感じる不調のケアに役立つ簡単なレシピを2つご紹介します。

レシピ1:潤いを補う ごまと白きくらげの簡単スープ

乾燥が気になる方におすすめの、滋養と潤いを補うスープです。白きくらげは戻す手間はありますが、体の中から潤いをサポートすると言われています。

材料(2人分): * 乾燥白きくらげ: 5g程度 * 絹ごし豆腐: 1/4丁 * 卵: 1個 * すりごま(白または黒): 大さじ2 * 鶏がらスープの素(顆粒): 小さじ1 * 水: 400ml * 塩、こしょう: 少々 * お好みで小ネギの小口切り: 少々

作り方: 1. 乾燥白きくらげはたっぷりの水に30分ほど浸して戻し、石づきがあれば取り除き、食べやすい大きさに切ります。 2. 鍋に水、鶏がらスープの素、白きくらげを入れて火にかけ、煮立ったら弱火にして5分ほど煮ます。 3. 豆腐をスプーンですくいながら加え、再び煮立たせます。 4. 溶き卵を回し入れ、ふんわりと固まったらすりごまを加えます。 5. 塩、こしょうで味を調え、器に盛り付けます。お好みで小ネギを散らして完成です。

レシピ2:気を補う 鶏肉と根菜のほっこり煮物

疲れやすさが気になる時におすすめの、体を温め「気」を補う煮物です。根菜は体を温める作用が期待できます。

材料(2人分): * 鶏もも肉: 1枚(約200g) * にんじん: 1/2本 * 大根: 5cm程度 * 里芋: 2~3個 * 生姜: 1かけ * だし汁: 200ml * 醤油: 大さじ2 * みりん: 大さじ2 * 砂糖: 小さじ1

作り方: 1. 鶏もも肉は一口大に切ります。にんじん、大根、里芋は皮をむき、乱切りにします。生姜は薄切りにします。 2. 鍋にごま油(分量外)を熱し、鶏肉の皮目を下にして入れ、両面に焼き色をつけます。 3. にんじん、大根、里芋、生姜を加えてさっと炒め合わせます。 4. だし汁、醤油、みりん、砂糖を加えて煮立たせます。 5. アクを取り除き、落とし蓋をして弱火で具材が柔らかくなるまで15〜20分ほど煮ます。 6. 煮汁が少なくなり、具材に味が染み込んだら完成です。

日常生活へのやさしい取り入れ方

薬膳・養生を毎日の生活に取り入れることは、決して難しく考える必要はありません。

まとめ

年齢とともに体や心に変化を感じるのは自然なことです。薬膳・養生は、そのような変化に対して、食を通じてやさしく寄り添い、体全体のバランスを整えるための知恵です。

ご紹介した食材やレシピはあくまで一例です。ご自身の体調や好みに合わせて、身近な食材を上手に活用してみてください。完璧を目指す必要はありません。できることから少しずつ、毎日の食卓に養生の考え方を取り入れていくことで、体が少しずつ応えてくれるのを感じられるでしょう。

ご自身の体と向き合い、やさしくいたわる時間を、ぜひ毎日の食事の中に見つけていただければ幸いです。