季節の変わり目の不調を薬膳でケア:身近な食材と簡単レシピ
季節の変わり目に感じる不調、薬膳・養生で整えませんか?
春から夏へ、夏から秋へ、そして冬へと移り変わる季節。気温や湿度、気圧などが大きく変化するこの時期は、なんだか体がだるい、眠れない、胃腸の調子が悪いなど、心身の不調を感じやすいものです。
東洋医学や薬膳の考え方では、私たちの体は自然と深く繋がっており、季節の変化の影響を受けると考えられています。季節の変わり目は、自然界の「気」が大きく変動する時期。この変動に体がうまく対応できないと、様々な不調が現れることがあります。
「薬膳って難しそう」「特別な食材が必要なのでは?」と思われがちですが、実は普段キッチンにある身近な食材でも、季節の変わり目の体調ケアに役立てることができます。この記事では、季節の変わり目に起こりやすい不調に寄り添い、身近な食材で簡単にできる薬膳・養生のヒントをご紹介します。
季節の変わり目に起こりやすい不調と薬膳的な考え方
季節の変わり目に起こりやすい不調は、人によって様々ですが、代表的なものと薬膳的な考え方をご紹介します。
- だるさ、疲れやすさ: 気温や気圧の変化についていけず、「気」のエネルギーが不足したり、体の中でうまく巡らなかったりすることで起こることが考えられます。
- 胃腸の不調(食欲不振、お腹の張り、軟便など): 季節の変わり目は、消化吸収を司る「脾(ひ)」という臓器の働きが乱れやすいため、胃腸の不調が出やすいとされます。「脾」は湿気に弱い性質があるため、梅雨時期なども影響を受けやすい傾向があります。
- メンタルのゆらぎ(イライラ、落ち込みやすいなど): 体の「気」の巡りが滞ると、心の状態にも影響することがあります。また、季節の変化によるストレスも要因の一つです。
- 頭痛やむくみ: 体内の「水(津液)」の巡りが滞ったり、余分な水分が溜まったりすることで起こることがあります。特に気圧の変化が大きい時に感じやすい方もいらっしゃいます。
これらの不調は、体のバランスが一時的に崩れているサインと捉えることができます。薬膳・養生では、体のバランスを整え、自然の変化にスムーズに対応できる体づくりを目指します。
身近な食材でできる季節の変わり目ケア
特別な食材は必要ありません。普段スーパーで手に入る身近な食材にも、体を整える力が宿っています。ここでは、季節の変わり目のケアにおすすめの食材とその薬膳的な作用をご紹介します。
- 山芋、かぼちゃ、きのこ類: 「気」を補い、体を元気にサポートします。だるさや疲れを感じやすい時におすすめです。
- 玉ねぎ、みかんの皮(陳皮)、セロリ: 「気」の巡りを良くする作用が期待できます。メンタルのゆらぎや、気の滞りによるお腹の張りなどに。陳皮は乾燥したみかんの皮で、少量をお茶に入れたり料理に使ったりします。
- 生姜、ネギ、シナモン: 体を温め、「気」や「血(けつ)」の巡りをサポートします。冷えを感じる方や、巡りが滞りやすい方におすすめです。
- 大根、キャベツ、豆類(大豆、小豆など): 消化を助け、胃腸の働きをサポートします。また、余分な水分を排出するのを助ける作用が期待できるものもあります。
- 蓮根、梨、白きくらげ: 体に必要な「潤い(津液)」を補い、乾燥しやすい肌や喉をケアします。
これらの食材を意識して日々の食事に取り入れることから始めてみましょう。
簡単!季節の変わり目におすすめ薬膳レシピ例
ここでは、身近な食材を使った、季節の変わり目の体調ケアに役立つ簡単なレシピをご紹介します。特別な技術は不要です。
レシピ例1:野菜たっぷり!元気が出る味噌汁
色々な旬の野菜(かぼちゃ、きのこ、人参、大根、葉物野菜など)と、お好みで鶏肉や豆腐、わかめなどを入れた具沢山味噌汁です。 * ポイント: 様々な食材を使うことで、気・血・水すべてをバランス良く補うことを目指せます。体を温める生姜やネギを加えるのもおすすめです。消化の良い煮込み料理なので、胃腸が疲れている時にも負担になりにくいです。
レシピ例2:胃腸にやさしいきのこあんかけ丼
ごはんの上に、きのこ数種類(しいたけ、えのき、しめじなど)と鶏ひき肉などを、和風だしと醤油、みりんなどで煮て片栗粉でとろみをつけたあんをかけます。 * ポイント: きのこは「気」を補い、胃腸の働きを助けると言われます。あんかけにすることで消化が良くなり、胃腸への負担を減らせます。お好みで擦り下ろした生姜を加えても良いでしょう。
レシピ例3:巡りをサポートする玉ねぎと鶏肉の生姜炒め
玉ねぎと鶏肉を炒め、生姜をたっぷり加えて醤油や酒で味付けします。彩りにピーマンなどを加えても良いでしょう。 * ポイント: 玉ねぎと生姜は「気」の巡りを良くし、体を温める作用が期待できます。鶏肉は「気」を補う代表的な食材です。シンプルながら、体の巡りを整え、元気をつける組み合わせです。
レシピ例4:簡単!陳皮(みかんの皮)茶
乾燥させたみかんの皮(陳皮)を少量(2〜3g程度)カップに入れ、熱湯を注いで蓋をして数分蒸らします。お好みで蜂蜜を加えても良いでしょう。 * ポイント: 陳皮は「気」の巡りを整え、胃腸の働きを助けると言われます。香りが良く、リラックス効果も期待できます。食後や、気分をリフレッシュしたい時に手軽に楽しめます。
これらのレシピはあくまで一例です。ご自身のその日の体調や手に入る食材に合わせて、自由にアレンジしてみてください。大切なのは、「体をいたわる」という意識を持って食事を選ぶことです。
日常生活への無理ない取り入れ方
薬膳・養生を日常に取り入れることは、決して難しくありません。
- いつもの食事に「+(プラス)」する: 普段作る味噌汁や炒め物に、ご紹介した食材を意識して加えてみるだけでも十分です。
- 簡単な一品から試す: まずはご紹介した簡単なレシピから一つ選んで試してみて、体の変化を感じてみるのも良いでしょう。
- 旬の食材を意識する: 旬の食材はその季節の体の状態に合ったエネルギーを持っていることが多いです。スーパーで旬の野菜や魚を選ぶことから始めてみましょう。
- 体調に合わせて加減する: 「なんとなく疲れているな」と感じたら気を補う食材を、「胃が重いな」と感じたら消化の良い調理法を意識するなど、ご自身の体の声を聞きながら調整することが大切です。
まとめ:無理なく続けて、体調の変化を感じてみましょう
季節の変わり目の不調は、体が新しい環境に順応しようとしているサインでもあります。薬膳・養生の考え方を取り入れることで、そのサポートをすることができます。
特別な知識や高価な食材は必要ありません。キッチンにある身近な食材を使い、簡単な調理法で「自分の体をいたわる」時間を持つことから始めてみてください。
今日ご紹介した情報が、皆さんが季節の変化に負けず、毎日を心地よく過ごすための小さなヒントとなれば幸いです。無理なく楽しみながら続けて、ご自身の体調の変化をぜひ感じてみてください。