はじめての薬膳・養生

春の不調を乗り切る薬膳・養生食:身近な食材で始める体調ケア

Tags: 薬膳, 養生, 春, 食材, レシピ, 体調管理

穏やかな日差しが増え、新しい始まりを感じさせる春。一方で、寒暖差や環境の変化から、なんとなく体調が優れない、疲れやすい、気分が落ち着かないといった不調を感じる方もいらっしゃるかもしれません。薬膳や養生は、このような季節の変わり目の体調変化に寄り添い、心身を整える知恵を教えてくれます。

「薬膳」や「養生」と聞くと、特別な食材が必要だったり、難しそうに感じたりするかもしれませんが、そんなことはありません。日頃わたしたちが食べている身近な食材を使って、体の声に耳を傾けながら食事を工夫すること。それが薬膳・養生の基本です。

この記事では、春に起こりやすい体調の変化とその理由、そして身近な食材を使って簡単にできる春の薬膳・養生食のヒントをご紹介します。いつもの食事に少しの意識をプラスして、心地よい春を過ごすための一歩を踏み出してみましょう。

春の体と薬膳・養生の考え方

東洋医学では、春は「肝(かん)」の働きが高まる季節と考えられています。「肝」は、血液を貯蔵し、体全体や精神の「気(き)」や「血(けつ)」の巡りをスムーズにする働きを担っています。春は自然界のエネルギーが一気に上昇するように、わたしたちの体の中でも「気」が活発に動き始めます。

しかし、この気の巡りが滞ったり、肝に負担がかかったりすると、様々な不調が現れやすくなります。例えば、イライラしやすくなったり、目の疲れを感じたり、古傷が痛み出したり、アレルギー症状が出やすくなったりすることも、春の「肝」の乱れと関係があると考えられています。

春の養生では、この「肝」の働きを助け、気の巡りをスムーズにすることが大切なポイントとなります。また、冬の間に体に溜め込んだ老廃物を排出しやすい時期でもありますので、デトックスを意識するのも良いでしょう。

春におすすめの薬膳食材とその取り入れ方

春の養生に役立つ食材は、実は私たちの身近にたくさんあります。特別な食材を用意する必要はありません。

気の巡りを良くする食材

春菊、セロリ、三つ葉、ネギ、玉ねぎ、ミント、ジャスミン茶、柑橘類(みかん、レモンなど)。 これらは香りが豊かで、体の中で滞りがちな「気」の流れをスムーズにするのを助けます。

体の余分なものを出すのを助ける食材

たけのこ、菜の花、ふきのとう、ワカメ、昆布、あさり。 春の山菜や海の幸には、冬の間に溜まった老廃物を出すのを助ける働きがあると言われます。特に春の苦味にはデトックス効果があると言われますが、摂りすぎは禁物です。

体を養い、バランスを整える食材

ほうれん草、人参、黒きくらげ、なつめ、米、もち米、かぼちゃ、さつまいも、いちご。 気の巡りを良くする食材だけでなく、体の基本となる「血」を補ったり、「脾胃(ひい)」(消化吸収を司る機能)を養ったりする食材もバランス良く取り入れることが大切です。

身近な食材で作る簡単な薬膳レシピ例

特別な調理器具や技術は不要です。普段の料理に少し意識をプラスするだけで、春の養生を取り入れることができます。

食事以外でできる春の養生

食事に加えて、軽い運動や十分な睡眠、早寝早起きを心がけることも春の養生につながります。体の声に耳を傾け、無理のない範囲で心地よい習慣を取り入れてみましょう。

まとめ:できることから、楽しく続ける

春の薬膳・養生は、決して難しいものではありません。スーパーで手に入る旬の食材を意識して選んだり、いつもの料理に香味野菜をプラスしたり、ハーブティーを飲んでみたり。まずは「これならできそう」と思うことから、一つずつ試してみてください。

完璧を目指す必要はありません。大切なのは、ご自身の体調に関心を持ち、日々の食事を通じて体を労わる時間を持つことです。薬膳・養生の考え方を参考に、あなたにとって心地よい春の過ごし方を見つけていただければ幸いです。