身近な食材で簡単！体を温める薬膳スープの基本
日々の暮らしの中で、何となく体が冷える、手足が冷たいと感じることはありませんか。特に気温が下がる季節や、エアコンの効いた場所に長時間いると、体の冷えを感じやすいものです。冷えは、疲労感や体調の波、時には気分の落ち込みにつながることもあります。
このような時、食事で体を温めることは養生の基本の一つです。中でも、温かいスープは手軽に体に取り入れられ、じんわりと体を内側から温めてくれる心強い味方です。薬膳の考え方を取り入れたスープなら、さらに効率よく、そして美味しく体のバランスを整えるサポートが期待できます。
「薬膳って難しそう」「特別な材料が必要なのでは？」と感じるかもしれません。しかし、実は普段の食卓にある身近な食材で、誰でも簡単に体を温める薬膳スープを作ることができます。この記事では、体を温める薬膳スープの基本的な考え方と、身近な食材を使った簡単なレシピをご紹介します。
薬膳スープが体を温める理由
薬膳の世界では、食材にはそれぞれ性質があると考えられています。例えば、体を温める性質を持つ食材、体を冷やす性質を持つ食材、そのどちらでもない性質を持つ食材などがあります。体を温めたい時は、もちろん体を温める性質を持つ食材を選ぶのが基本です。
スープという形にすることで、以下のようなメリットがあり、より効率的に体を温めることにつながります。
- 体が温まりやすい: 温かい状態で摂るため、飲んですぐに体が温まる感覚を得られます。
- 消化吸収が良い: 食材が柔らかく煮込まれているため、胃腸への負担が少なく、栄養素が体に取り込まれやすくなります。体を温める働きを持つ食材の力もしっかり受け取ることができます。
- 水分と一緒に摂れる: 体の巡りをサポートするためには水分も大切です。温かいスープで水分補給も同時に行えます。
このように、薬膳の知恵とスープの特性を組み合わせることで、体を内側から優しく温めることができるのです。
体を温める身近な食材を知る
薬膳では、食材の性質を「五性（ごせい）」として分類することがあります。これは、食材が体を温めるか冷やすかを示す考え方です。五性には「熱性（ねっせい）」「温性（おんせい）」「平性（へいせい）」「涼性（りょうせい）」「寒性（かんせい）」があります。体を温めたい時には、「熱性」や「温性」の食材を取り入れるのがおすすめです。
身近な食材の中にも、体を温める性質を持つものがたくさんあります。例えば、
- 生姜（しょうが）: 体を温める代表的な食材です。血行を促進する働きが期待できます。
- ネギ（白ネギ）: 体を温め、発汗を促すと言われています。風邪のひき始めにも良いとされます。
- かぼちゃ: 体を温め、エネルギーとなる「気（き）」を補う働きがあるとされます。胃腸の調子を整えるサポートも期待できます。
- にんじん: 体を温め、「血（けつ）」を補う働きがあると言われています。「血」は体に栄養や潤いを運ぶと考えられています。
- 鶏肉: 「気」を補い、体を温める食材です。消化が良く、弱った体にも優しいとされます。
- 羊肉: 非常に体を温める力が強い食材です。冷えが特に気になる時におすすめですが、体に熱がこもりやすい方は少量から試すと良いでしょう。
- 唐辛子: 体を強く温め、巡りを良くする働きがありますが、刺激が強いため使いすぎには注意が必要です。
これらの食材を上手に組み合わせてスープにすることで、簡単に体を温める薬膳スープを作ることができます。
身近な食材で作る簡単！体を温める薬膳スープ レシピ
ここでは、どのご家庭にもあるような、またはスーパーで手軽に手に入る食材を使った体を温めるスープの基本レシピをご紹介します。特別な材料や複雑な手順は一切ありません。
材料（2人分）:
- 鶏もも肉（または鶏むね肉）: 100g
- にんじん: 1/2本
- かぼちゃ: 1/8個（正味100g程度）
- 生姜: 1かけ
- 白ネギ（または玉ねぎ）: 1/4本
- 水: 400ml
- 顆粒鶏がらスープの素: 小さじ1〜2（またはお好みの出汁）
- 塩: 少々
- 醤油: 少々（風味付けに）
- お好みで乾燥わかめやきのこ類を加えても良いでしょう。
作り方:
- 鶏肉は一口大に切ります。にんじんとカボチャは食べやすい大きさに切ります。生姜は薄切りにします。白ネギは斜め薄切りにします。
- 鍋に水と鶏肉、にんじん、かぼちゃ、生姜を入れて火にかけます。
- 沸騰したらアクを取り除き、野菜が柔らかくなるまで10分ほど煮込みます。
- 白ネギを加えてさっと煮たら、顆粒鶏がらスープの素で味を調えます。
- 塩と醤油で最終的な味を調整して出来上がりです。
このスープは、体を温める鶏肉、にんじん、かぼちゃ、生姜、ネギを組み合わせた、基本の温めスープです。お好みで、きのこ類（椎茸やえのきなど）は「平性」で体に優しく、食物繊維も豊富なのでおすすめです。乾燥わかめも手軽に使えます。
薬膳スープを暮らしに取り入れるヒント
体を温める薬膳スープは、毎日の食事に無理なく取り入れるのが続けるためのポイントです。
- 朝食に一杯: 一日の始まりに温かいスープを飲むことで、体を目覚めさせ、内側から温めることができます。
- 夕食の汁物に: 献立に汁物として加えるだけで、体の温めをサポートできます。
- お腹が空いた時に: 小腹が空いた時や、体が冷えると感じた時に、市販のお菓子や冷たい飲み物ではなく、温かいスープを選ぶのも良い方法です。
- 作り置きを活用: 時間のある時に多めに作っておき、冷蔵庫で保存しておけば、忙しい日でもすぐに温めて飲むことができます。冷凍保存も可能です。
- 体調に合わせてアレンジ: 基本のレシピに慣れてきたら、その日の体調や気分に合わせて使う食材を少し変えてみるのも良いでしょう。例えば、疲れを感じる時は椎茸を加えて「気」を補うサポートをしたり、胃の調子が気になる時は生姜を控えめにしたり、大根など消化を助ける食材を加えたりと、自由に楽しんでみてください。
まとめ
体を温める薬膳スープは、特別なものではありません。キッチンにある身近な食材といつもの鍋で、誰でも簡単に作ることができます。
冷えが気になる時、何となく体が疲れている時、季節の変わり目に体調を崩しやすい時など、ぜひこの簡単な薬膳スープを試してみてください。一杯の温かいスープが、あなたの体を内側から優しく支え、日々の健やかさに繋がることを願っています。無理なく、楽しく、あなたのペースで、薬膳・養生食を暮らしに取り入れていきましょう。