身近な食材で始める薬膳・養生お弁当:午後のパフォーマンスを支える簡単ケア
午後のだるさ、眠気…お弁当がカギかもしれません
お昼ごはんの後、どうしても眠くなってしまったり、集中力が続かなかったりすることはありませんか? せっかく午前中がんばったのに、午後のパフォーマンスが落ちてしまうのはもったいないことです。
実は、お昼に何を食べるか、どのように食べるかは、その後の体調に大きく影響します。薬膳や養生の考え方をお弁当に取り入れることで、午後の不調を和らげ、一日を通して心地よく過ごすためのヒントが見つかるかもしれません。
「薬膳お弁当なんて難しそう」「特別な食材が必要なのでは?」と感じる方もいらっしゃるかもしれませんが、心配はいりません。普段キッチンにある身近な食材や、いつもの料理にちょっとした工夫を加えるだけで、薬膳・養生の考え方を取り入れたお弁当は作れます。この記事では、薬膳・養生がお弁当にどう活かせるか、そして無理なく続けられる簡単なお弁当づくりのポイントをご紹介します。
薬膳・養生がお弁当にどう活かせるか
薬膳や養生は、食材が持つ力を借りて体のバランスを整えることを目指します。私たちの体は「気(き)」「血(けつ)」「水(すい)」という3つの要素が巡ることで健康が保たれていると考えられており、これらのバランスが崩れると不調が現れると考えられています。
午後の眠気やだるさは、東洋医学の考え方では「気」が不足している状態(気虚)や、「湿(しつ)」が体に溜まっている状態などが原因の一つとして考えられます。
- 気虚(ききょ): 元気や活力が不足している状態。消化機能が低下しやすく、食後の眠気につながることがあります。
- 湿(しつ): 体に余分な水分や老廃物が溜まっている状態。体が重だるく感じたり、むくみやすいといった症状が出やすくなります。
お弁当でこれらの状態をケアするために、次のような視点で食材や調理法を選ぶことがおすすめです。
- 気を補う: 元気をチャージし、消化を助ける食材を選びます。
- 湿を除く: 体の余分な水分や老廃物を排出しやすくする食材を選びます。
- 胃腸をいたわる: 消化に負担をかけすぎないように調理法を工夫します。
これらのポイントを踏まえて、身近な食材をどのように活用できるか見ていきましょう。
午後のパフォーマンスを支えるお弁当におすすめの身近な食材
薬膳・養生では、それぞれの食材に異なる性質(体を温める、冷やすなど)や、特定の働き(気を補う、血を増やす、湿を除くなど)があると考えられています。ここでは、午後の元気チャージやだるさ軽減におすすめの、身近な食材とその働きの一部をご紹介します。
- ごはん、もち米: 気を補い、胃腸の働きを助けます。主食として基本になります。
- 鶏肉、牛肉: 気と血を補い、体力をつけます。ただし、脂身の少ない部位を選び、消化の良い調理法がおすすめです。
- 卵: 気や血、体をうるおす「陰(いん)」を補います。手軽なたんぱく源です。
- きのこ類(しいたけ、まいたけなど): 気を補い、胃腸の働きを助けます。食物繊維も豊富です。
- 根菜類(にんじん、ごぼう、れんこんなど): 胃腸を整え、気を補うものが多いです。体を温める性質を持つものもあります。
- 豆類(大豆、小豆など): 気や血を補い、体の余分な水分を排出するのを助けるものもあります(小豆など)。
- 青菜類(ほうれん草、小松菜など): 血を補う、体の熱を冷ますなど、種類によって様々な働きがあります。消化を助けるものも多いです。
- 生姜: 体を温め、気の巡りを良くします。少量をおかずに加えるのがおすすめです。
- ネギ、玉ねぎ: 気の巡りを良くし、体を温めるのを助けます。
- 大根: 消化を助け、体の余分な水分や熱を排出するのを助けます。
これらの食材をいくつか組み合わせることで、バランスの取れたお弁当になります。
簡単!身近な食材で作る薬膳・養生お弁当のヒント
特別なレシピを覚えなくても大丈夫です。いつものお弁当に、これからご紹介するような考え方を取り入れてみましょう。
ヒント1:主食にひと工夫
白米に、気を補うもち米や、湿を除く作用があると言われる小豆を少量加えて炊き込みご飯にするのはいかがでしょうか。鶏肉やきのこ、人参などを加えて炊けば、それだけで立派なおかずになります。
ヒント2:常備菜を活用
気を補うかぼちゃや、胃腸を整えるさつまいもの煮物、血を補うほうれん草のごま和えなど、週末にいくつか常備菜を作っておくと、お弁当の準備が格段に楽になります。根菜のきんぴらなども、胃腸をいたわる定番のおかずです。
ヒント3:温かい汁物をプラス
保温できるスープジャーがあれば、体を内側から温め、消化を助ける汁物を持参できます。鶏肉やきのこ、根菜を使った生姜入りの味噌汁や、胃腸に優しいかぼちゃのポタージュなどがおすすめです。汁物は体の「水」の巡りも助けてくれます。
ヒント4:彩りとバランスを意識
お弁当箱に赤・黄・緑・黒(紫)・白の5色が入るように意識すると、自然と様々な種類の食材を取り入れることになり、栄養バランスも整いやすくなります。見た目の楽しさも、美味しくいただくための養生の一つです。
ヒント5:残り物を賢く活用
夕食のおかずを少量お弁当用に分けておくのも良い方法です。例えば、肉じゃがのじゃがいもや人参は気を補い、牛肉は気と血を補います。和え物や煮物なども、冷めて美味しいものは立派なお弁当のおかずになります。
ヒント6:消化を意識した調理法
揚げ物や脂っこいものは、消化に負担をかけやすく、食後の眠気につながることがあります。お弁当のおかずは、蒸す、煮る、焼く、和えるといった調理法を中心にするのがおすすめです。
これらのヒントを取り入れるのに、高価な調理器具や特別な技術は必要ありません。普段お使いの鍋やフライパン、調味料で十分に実践可能です。
まずは小さな一歩から
薬膳・養生のお弁当づくりと聞くと、完璧を目指さなければならないように感じるかもしれませんが、全くそんなことはありません。まずはいつものお弁当に、おすすめした食材を一つ加えてみる、汁物をプラスしてみる、調理法を少し変えてみるなど、できることから始めてみてください。
お弁当は、忙しい日々の中でもご自身の体と向き合い、いたわるための大切な機会です。身近な食材の力を借りて、美味しく、無理なく、午後の時間を快適に過ごすための薬膳・養生お弁当を始めてみませんか。きっと、体の中から変化を感じられるはずです。